2005年、私は日系企業を対象に、法律事務所で法務コンサルティングを担当することになりました。それをきっかけに、私は日本人の法律観に触れることができました。この場をお借りして、私の経験をご紹介させていただきます。
法律を尊重するというと、一般的には法律に従うことと思うかもしれません。でも、日本人はそれだけではありません。不思議なことには年上の日本人のお客様は私に敬語で話してくれました。私はとても違和感を感じました。なぜなら中国の伝統的な考え方では年上のお客様に敬語を使っていただくのはとても失礼なことなのだからです。それで、通訳は説明してくれました。お客様にしてみれば、弁護士としての私は法律の代わりです。そのために、敬語は使うべきです。「なるほど!」年下の私に対して、敬語を使うのは日本人が法律を尊重することだったのです。
また、私には考えられなかったこともありました。去年の9月30日、次の日は中国の国慶節でした。ある日本人のお客様は国慶節休暇のうちに安全のために、工場や倉庫などを封鎖することについて休憩せずに夜11時まで会議をしました。そして、ドアを封鎖するにはどんな紙がいいか、どうやって貼ったらいいか、法律に問題がないかと私に聞きました。
それはほかの人にすれば、法律に関係がないかのような小さな問題ですが、それでこそ、日本人がどんなに細かいことでも、まじめに対応して、どうやって法律をきちんと守っていけばいいかを考えているのだと思いました。
日本の経済は戦後から、急速に発展してきて、世界中の人々を驚嘆させました。日本人がこのような法律観を持っていることが日本経済発展の原因の一つだと私は思います。この法律観によって自分の利益だけではなく、ほかの人あるいは公共の利益を尊重するという考え方になってきました。それでこそ、経済は発展し、効率が高く、秩序正しい社会ができたのではないかと思うのです。
ご清聴、ありがとうございました。